『海外の音楽風景』ロンドンのストリートで定番人気の演奏曲・ベスト1
路上演奏(ストリート)の事を海外ではバスキングと呼びます。
今回は、バスキングの本拠地イギリス・ロンドンのバスカー達の人気演奏曲を厳選して、ご紹介します。
まずはベスト1から。
レノンの悲痛の叫びであり、曲作りのマイルストーン
”Help!” The Beatles
1965年4月録音、同年7月リリース(UK)
Written by Lennon-McCartney
ポピュラー音楽史のレジェンド、ビートルズの作品「ヘルプ!」です。
知らない人はいませんよね。
名カヴァーより。
数えきれない名曲を持つビートルズ。
なぜ「Help!」を路上演奏で聞く事が一番多いのかは後述にて。
同曲は、彼らの2作目の主演映画である「Help!」(邦題『ヘルプ!4人はアイドル』)のサウンドトラック及び5枚目のアルバムのタイトル曲。
10枚目のシングルとして、UK、USチャート両方にて3週連続の1位を記録しています。
当時レノンは、ビートルズ人気が過熱する中、心の中で(助けて!)と叫んでおり、そのストレスを表現して書いたそうです。
1970年のローリングストーン誌「Lennon Remembers」にて、レノン自身「ヘルプ!」はお気に入り曲のひとつであり、同曲と「Strawberry Fields Forever」は、”ただ曲を書いたのではなく最も正直に書いた曲”と語っています。
また、ライターのイアン・マクドナルドは、レノンがそれまで周りから防御していた感情の殻を破り、リアルに胸の内を書いた最初の曲と言える「Help!」は、その後の作曲スタイルに画期的な変化をもたらしたとコメントしています。
天才両名によるクレジット
前述の通り「Help!」はレノン主導の曲。
ビートルズの作品の、レノンおよびマッカートニーの作詞曲は全て「レノン=マッカートニー」とクレジットされています。
共作や、どちらかが作った作品をもう一人が手を加え完成させている曲、中には単独作品もありますが、その比重に関係なく、彼らのバンド内での作品は両名としてクレジットされています。
音楽ファンであれば、どの曲がどちらかは把握していますよね。
例えばYesterday、Hey Jude、Let it Beはマッカートニー。
Help!やRain、I’m A Loserはレノンといった風に。
印象として、マッカートニーはポップで大衆に共感を得やすいストーリーや緻密でメロディアスな作風、反対にレノンは、独自の世界観や感情をさらけ出したロックでストレートな作風が多いです。
従って、本人の感情と個性が一番のスパイスであるレノン曲をカヴァーするのは大変難しいのです。
彼しか表現できない世界が存在するため、技術面を追うだけでは様になり難い、だからこそ演奏したいという人も多いのです。
完璧なポップ構成
多少複雑なコード転回でも、マッカートニー曲を演奏する方が実は様になります。
反対に、簡単そうなコード転回を選んでも魅せるのが難しいレノン曲。
そんな中でも「Help!」は、転回だけに身を委ねやすい曲なんです。
ビートルズのトリビュートミュージカル作品「Let It Be」のイギリス舞台で鍵盤を担当するマイケル・ブランウォールは、2019年のフィリピン公演にて、「Help!」は完璧に構築されたポップソングだ、と語っています。
同曲はじめビートルズの名曲の数々は、奏者にもオーディエンスにも人気ナンバーワン。
弾き語りだけでなく、ソロ楽器演奏にも適しています。
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次の記事では、イギリス人が大合唱する定番曲をご紹介します。