『海外の音楽風景』ストリートで学ぶ
前回の記事では、気軽に路上で演奏できる場所探しについて、イギリス・ロンドンの風景を交えながらご紹介させて頂きました。
ストリートで自然に学べる事って何でしょう。小さな事です。
ストリートパフォーマンスを行う事で「引いて聞かせる」という感覚を養えます。
ミュージシャンは、自分の世界を音で表現し、多くの人に伝えるために演奏したり、歌ったりしています。
音楽をはじめる理由としては、楽器の音色が好きとか、格好いいからとか、あるいは美しい音楽を自分で表現したいからという目的を最初から持っている人もいるかもしれません。
きっかけは何であれ、続けるうちに何かを掴み、更に楽しさに気づいて止められなくなるのが音楽です。
一歩引いた演奏を
一番最初にお客様の前で演奏する時は、誰でも手探りです。
初心者がステージに立つ時、緊張して自己アピールが思うように出来ないケースと、自己顕示欲が表れたステージになるケース、この2つが多いです。
どちらのケースも、楽しくて興奮状態になる事には間違い無いのですが・・・
実は、最初から自己顕示欲がステージ上に表れてしまうのは、あまり良い事ではありません。
自信とはまた違うのです。
そもそも、人前で音楽を演奏する誰もが「自分の音楽を聞いてください」という姿勢である事には違いないのです。
ボーカルであれば中心に立っていたいし、楽器であれば、間奏でソロが回ってきたら、12小節でも長く演奏したいと思うのが普通です。
そこで、良い自己アピールを出来る演奏者というのは、周りに合わせる事が出来て、状況で自分が引く事ができる(理解している)演奏者です。
最初から、自分が、自分がという演奏をすると、良いステージにはなりません。
そう言った意味でも、ジャムセッションに参加するというのはとても勉強になります。
公共の場所で演奏している事が前提
ストリートパフォーマンスも同じです。
路上のどこかで演奏している人を見かけたら、一度ゆっくり観察してみてください。
その演奏を気持ちよく聞く事ができる時は、奏者は必ず引いた演奏をしているのです。
一人で演奏しているのに、引いて演奏しているっておかしいですよね。
街中の路上というのは、大勢の人達が行き交っていて、誰しもが何らかの用事を抱え路上で演奏している人の側を通るのです。
あくまでその場所は公共の場であり、決して音楽施設ではないのです。
全員が全員、音楽を聞きたいわけではありません。
そこで「どうだ!みんな聞いてくれ!」という推す演奏をすると、まさしくお客様の方が「引いて」行きます。
友達同士で話しをする時、大きな声で自分中心のお喋りを続けたら「うるさいなあ、わかってるよ」と、なりますが、相手が何かをささやいたら、「えっ?何?」と、顔を寄せて聞き入りたくなりますよね。
それと同じで、路上で爆音を鳴らし、思うままに遠慮なく人々に推すような演奏していると、誰も立ち止まって聞きたくも無くなるのです。
街の景色に溶け込むバスカー達
ストリートパフォーマンスに慣れている人であれば、そこを控えながら演奏しているので、思わず続きが聞きたくなったり、イライラしながら歩いていたのが癒されて思わず立ち止まったりしてしまうのです。
試しに、路上で演奏してみると、よくわかると思います。
道ゆく人たちの表情や風景などを感じる事で、演奏全体のバランス感覚に自然と注意が行くようになります。
状況に合わせて一歩引いた演奏をできる事は、ステージに良い影響をもたらします。
あくまで、自信がない事とは違いますので、練習は頑張りたいですよね!
次の記事では、ちょっぴり違う日本とイギリスの路上スタイルについてご紹介します。
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