『海外の音楽風景』セッション人気曲ポピュラー編②
前回の記事では、セッションの定番曲ともいえる「Feel Like Makin’ Love」をご紹介しました。
ライブのカヴァー演奏や、セッション会場で耳にする事もとても多いですよね。
日本では定番ともいえる「Feel Like Makin’ Love」ですが、実は、ロンドンのセッション会場で演奏する人を見た事がありません。
海外では、あまりにポピュラーすぎる曲じゃない方がいいのかも?しれませんね。
ブルージーなあの名曲を弾こう!
しかし、ロンドンにもセッションで定番の如く演奏される曲があります。
その曲がこちら。
Ain’t No Sunshine
Songwriter:Bill Withers
ソウル・R&Bシンガーソングライター、ビル・ウィザーズの「Ain’t No Sunshine」です。
1971年発売のアルバム「Just As I Am」からシングルカットされ、全米チャート3位を記録しました。
プロデュースは、ブッカー・T・ジョーンズ。
失恋の苦悩が歌われた「消えゆく太陽」という邦題のこの曲は、その詞も曲調もブルージー。心を掴みます。
ウィザーズは、1962年の映画「Days of Wine and Roses」を鑑賞し、インスパイアを受けて「Ain’t No Sunshine」を書いたと言われています。
この映画から生まれた名曲が、ご存知スタンダードの名曲「Days of Wine and Roses」です。
こちらはフランク・シナトラの「Days Of Wine And Roses」です。
「Ain’t No Sunshine」を書いた当時、ウィザーズは31歳でした。
その時点では、便座を作る工場で働いていたそうです。
American Top 40のDJ、Casey Kasemのレポートによると、曲がヒットをした時、ウィザーズのレコード会社は彼に金のトイレを贈り、彼の新しいキャリアの始まりを祝福したとか。
労働の傍ら曲を書き続けた苦労人であり、遅咲きである彼だからこそ、失恋ソングに留まらないブルージーで重厚な曲を作り、歌い上げる事が出来るのですね。
こちらはブルース3大キングのひとり、フレディー・キングのヴァージョンです。
ポップさと突き抜ける歌唱が素晴らしいマイケル・ジャクソンのヴァージョンもおすすめ。
曲を書き続け、音楽に賭けた人生
この曲の良さは、シンプルながらインパクトの強い歌詞にもあります。
3コーラス目で26回繰り返される「I know」と言うフレーズ。
今で言うと、とてもキャッチーですが、当時ウィザーズは普通に歌詞を入れることを考えていたそうです。
そんな時、他のミュージシャン達のアドバイスを受けたことで、この歌詞が生まれたのだとか。
そのアドバイスというのが「(当時働いていた)工場をダラダラと続けるだけなら、工場を去った方がいい」と言われた事で、職場を去った、と言うもの。
あくまで筆者の推測ですが「音楽で人生の勝負を賭けろ」と言う意味合いの助言に対しての、ウィザーズの心の回答が「I know(分かってるよ)」ということだったのかな、と感じています。
レパートリーを増やして演奏に出かけよう!
セッションでは、客の盛り上がり高まる終盤にかけて選曲される事が多いこの曲は、ファンク調を原曲より強めて演奏される事が多いです。
近い雰囲気がこちらです。
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レパートリーを増やして、街へ演奏に出てみませんか?
次の記事では、これから始まる季節に向けて、演奏人気が更に増す曲を紹介します。