ミュージシャンが最低限覚えておきたい知的財産権にまつわる2つのこと①曲が生まれた時点で自分の財産になる
今回は、前回のディストリビューション記事で触れた「知的財産」について、最低限ミュージシャンが把握しておきたい事をご紹介します。
ミュージシャンの大切なもの
知的財産権とは
人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには、財産的な価値を持つものがあります。
そうしたものを総称して「知的財産」と呼びます。
知的財産の中には特許権や実用新案権など、法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあります。
それらの権利は「知的財産権」と呼ばれます。
引用:日本弁理士会
<https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/>
(最終アクセス2020年3月26日)
知的財産とは、人間が独自に生み出したアイデアや作品などを示すんですね!
知的財産権には、上記引用にあるように特許権や実用新案権のほかに、商標権や商号など様々。
それらの中でミュージシャンに一番関係するのが「著作権」です。
言葉を聞いて思い浮かぶのは「作詞作曲をしたら得られる権利」「著作物が売れると印税が入る!」等ですよね。
著作権の中には、著作財産権をはじめ、著作者人格権や著作隣接権、著作隣接権に含まれる原盤権や実演家人格権など深く、専門家でない限り全てを把握することも、説明することも難しいです。
そこで覚えておきたいのは、シンプルに、このひとつです。
著作権は作品が生まれた時点で発生する
全くの初心者がディストリビューションを始める際「著作権はどうしたら?」「どこに管理を申し込むべき?」と不安になります。
管理会社に委託する場合は登録料金も必要。でも、自己満足で配信するのには敷居が高すぎると悩む人も多いのです。
売れない場合、登録料も回収できずマイナスの可能性もありますよね・・・
配信にはISRCと呼ばれる国際標準レコーディングコードの取得は必須。しかし、著作権に関しては自己管理からでも配信を行う事ができます。
映画やテレビ等で使用される場合、管理会社に登録されている楽曲であることが大事です。個人管理の場合は、メディア側がどこに許可を取れば良いのか困る以外にも、管理者本人も管理が行き届かなくなる事も。
しかし、管理会社に登録していないから自作である証明ができないという事ではありません。
著作権は、ノートの切れ端に書いた物でも鼻歌でも、作品が生まれた時点で作品の著作権が自動的に発生しています。
万が一トラブルに巻き込まれた際は、それを証明できることが大事なので、制作過程を保存しておくことや、第三者に送信する場合は記録が残る状態で送る等、最低限の注意をしておきましょう。
心配な方は最初から管理会社に登録するもよし。登録しない場合でも自己管理ができないと感じれば専門家に相談しましょう。大事なのは過程の記録や保存です。
アーティスト各自が個人でマネージメントする事が多い海外では、この自己管理意識が凄く高いのです。
演奏過程をビデオで記録
外国人ミュージシャンがよく使ってる「過程記録方法」があります。
スタジオでレコーディングしている過程の映像PVを観たことありませんか?
デモ音源やお試し作品を公開する際、制作過程を証明できる記録としても使えるよう、インディーミュージシャンが行う手法のひとつです。
稀にこれだけでは記録不十分な場合もありますし、ただ映像のアイデアとして撮影してる場合もありますが、実はそういう視点で撮影記録をしているアーティストもいるんです。
また、曲が生まれる過程をビデオに録って見直す事で、演奏の手直し作業にも役立ちますよね!
次回は、アーティスト本人を守る権利のお話しです。