楽器をやりたい初心者のための講座 ―音名について―
前回までは、音楽ジャンルや個々の楽器の紹介をしていた「楽器をやりたい初心者のための講座」。
ここからは実際の音楽の知識もご紹介していきたいと思います。
今回は、音名についてです。
これを知るだけで何気ない音楽の基本トークが分かりやすくなりますよ。
「ドレミファソラシド」音名の語源
音楽で音の高さを表す言葉といえば、ドレミファソラシドですよね。
この「ドレミ…」の語源は、元々イタリアのグイード・ダレッツォという音楽理論家が作曲した「ヨハネ讃歌」に由来します。
この曲の歌詞は、各行の冒頭が「ドレミファソラ」となっており、そこからイタリアで「ドレミ…」が定着し、世界にも広まったのです。
ちなみに、この「ヨハネ讃歌」は「ドレミの歌」として日本にも伝わりました。
日本の「ドレミ…」は移動する?
このような経緯で「ドレミ…」が日本にも定着したのですが、実は皆さんの知っている「ドレミ…」には落とし穴があるのです。
それは「ドレミ…」のルールが「ドが必ず中心の音になる」ことだからです。
(わかりやすく解説するにあたり、音を「①②③…①②③…」と表します)
(ルール)
- 2回目の①=1回目の①オクターブ上の音
- すべての音は1つ前の音より一定の幅で高くなる
- すべての音は必ず違う音
音楽には「調」という概念があり、例えば①の音を中心として音階を作ったとき、①の調となります(正確には長調と短調に分かれる)。
同じように②の音を中心とすれば②の調、③の音を中心とすれば③の調となります。
日本における「ドレミ…」は「ドを必ず中心の音にする」がルールなので、①の調に当てはめると、
①=ド、②=レ、③=ミ・・・
と表され、オクターブ上の①をまたドとなります。
しかし、②の調の場合は、
②=ド、③=レ・・・①=シ・・・
となり①の調とは「ド」が指す音が変わってしまうのです。
もちろん③の調でも同様に違いが発生します。
このように日本で「ドレミ…」はドが中心の音を表すように調によって変化してしまうのです。
これを理解していないと、音楽トークで思わぬ食い違いを呼ぶことがあるので注意しましょう。
絶対的な音の表し方
「だったらどうやって音を区別すればいいんだよ!?」って思いますが、
絶対的に同じ音を表す言葉もあります。
国ごとに違いますがこんな感じです。
- イタリア Do|Re|Mi|Fa|Sol|La|Si
- アメリカ C | D | E | F | G | A | B
- ドイツ C | D | E | F | G | A | H (アメリカと読み方が違う)
- 日本 ハ| 二| ホ| ヘ| ト|イ| ロ
(縦の列はすべて同じ音を指す)
この読み方の場合、①の調で①がアメリカ音名のCなら、
②の調でも①=C、③の調でも①=Cとなります。
そして、どの場合でも日本音名では①=C=ハとなるのです。
アメリカ音名は軽音楽やジャズなどでよく使用され、
ドイツ音名は吹奏楽やクラシックなどでよく使用されるので、覚えておきましょう。
ちなみに「ハ長調」のハは日本音名におけるハなので、音楽知識を勉強する際には知っておくと便利ですよ。
ちなみに
今回は音名の複雑な仕組みを紹介しました。
簡単にまとめると
- 日本の「ドレミ…」は移動するので音楽トークで邪魔になることがある
- 絶対的な音の表し方がある
この2つを覚えてくれれば大丈夫です。
ただし「ドレミ…が移動する」とは言いましたが、日本における「ドレミ…」は音楽的に言うとハ長調(ハ=Cが中心の長調)の音とリンクする意識が強いです。
なので、絶対音感の人や音楽の先生が「ド」といったら、ハ=Cの音のことだな、と思うようにすると日常でも困らなくなりますよ。