楽器をやりたい初心者のための講座 ―倍音―
前回はハーモニーの根幹である和音やコード進行についてご紹介しましたね。
次は音そのものの性質について見てみたいと思います。
というわけで今回のテーマは倍音でお送りします。
音は周波数の集まりで決まる
音は振動なので、解析的に言えば周波数(一定時間に振動する回数)でその性質が決定されます。
音の中には様々な周波数の振動が発生しており、その中の一番中心となる周波数がその音の高さを、音の中の周波数の含まれ方が音色が決定づけます。
また振動の大きさが音の大きさを決定づけます。
そのため、どんな振動を起こすかで音の高さ、大きさ、音色がすべて変わってくるのです。
倍音とは
基本となる周波数から見て、そのほかの周波数は整数・非整数の違いはあれどすべて倍数として扱うことができますよね
なので、基本的な周波数以外でその音に含まれる周波数の音を倍音と呼びます。
つまり、この倍音の含まれ方が音色に大きく影響してくるのです。
整数次倍音と非整数次倍音
倍数は整数倍の物と、非整数倍のものに分けることができます。
そしてこの2つは楽器の音色を考える上でかなり違いを出すことになります。
整数次倍音
整数次倍音は基本となる周波数から整数倍、つまり2倍3倍となる倍音のことです。
この整数次倍音が多く含まれる音は、クリアで澄んだ印象の豊かな音になります。
真っすぐとした音色で人々を惹きつける、そんな音ですね。
いわゆるいい声といわれる人たちも、この整数次倍音を多く含んでいます。
非整数次倍音
非整数次倍音は基本となる周波数から整数倍にならない倍音(例えば1.28倍とか)のことです。平たく言えば整数次倍音以外の倍音ですね。
この非整数次倍音が多く含まれる音は、ノイジーな音になります。
多すぎればこもった音や耳障りな音になりますが、いい意味の人間臭さ、エモーショナルな部分が表現される倍音でもあります。
そのため、より感情のある良い音色には、この非整数次倍音と先ほどの整数次倍音のバランスが大切になってきます。
倍音と楽器
倍音は音色を決定づけるといいましたが、楽器の音色にも倍音が当然関わります。
楽器の作りの違い、また演奏する人間の違いによって、それぞれの楽器の倍音が決定され、皆さんが聞いているような音色になります。
わかりやすいので言えばクラリネットですね。
クラリネットは偶数倍音が弱いという特徴があるので、それが原因であのような独特な音になります。
倍音と和音
上で基本的な周波数以外の音(=倍音)も鳴っていると言いました。
ということは当然、音を出したときの倍音も頑張れば聞き取れます。
そしてこれがハーモニーの響きを豊かにする上で非常に便利なのです。
例えば長三和音のドミソの和音を作るとします。
根音のドを鳴らしたとき、ドの倍音として上のド、ソ、さらにその上のド・・・・と聞こえてくるので、
5度のソを乗せたかったら、ソの倍音を頼りに音程を合わせられるのです。
しかも、実は和音の5度の音、厳密には少し音程が高めなので、倍音を頼りやるほうがより綺麗なハーモニーを作ることができます。
(厳密な音程は話は平均律と純正律の話をする際に触れます)
まとめ
というわけで今回は倍音についてでした。
まとめとしては
- 音の中では、聞こえる音の高さ以外に倍音も鳴っている
- 倍音には整数次倍音と非整数次倍音がある
- 倍音はその音の音色に関係する
- 倍音を聞くことで和音で根音に乗っかる音の厳密な高さが分かる
こんな感じです。
倍音の聞き方はまたおいおい紹介しますが、少し意識して倍音を聞いてみると音の聞き方が上手になりますよ。