『海外の音楽風景』メンタルトレーニング・ミュージシャンシップ編②
前回の記事で、音楽に大事なものとして「ミュージシャンシップ」をあげさせて頂きました。
どんな音楽家とも仲良くしているつもりでも、実は、気づかない内に自己中心な部分が出ている時もあるのです。
体験談から少しご紹介したいと思います。
セッティングもステージのうち
以前の記事でイギリスのジャムセッション風景をご紹介してますが、日本のあるジャムセッションを覗いた時に、少し驚いた事があります。
セッティングタイムが長すぎるのです。
トラブルとか慣れてない等ではなく・・・時間を気にしている様子が全くなかったのです。
どう言う事かわかりますか。
次の出番のセッション奏者のことを考えていないのです。
そんな意図は全く無い筈です。しかし、結論としてはそうなります。
前説や曲間のトークも長く、一度ステージに上がると、下りるまでの時間をかなり要していました。
すると次のバンドも同じく。セッティングもトークも長いのです・・
全てのセッションがそうではありません!
日本でも海外でも、そんな現場を見たのは後にも先にもその1回。
だから、その時は本当に驚きました。
イベント時間には限りがあります。
時間が押すと、その分後半の演奏時間が削られたり、お店が閉店せざるを得ず演奏できない人も出てきます。
セッション慣れしてる方だと、状況次第で自らセッション曲を3曲から1~2曲に削ることもよくあります。
実はその時、外国友人の演奏家を連れていたのですが、参加希望だった友人は他の方に出番を譲り、自分の参加を取り消しました。
舞台に上がる前後も、ステージの成功を決める
ステージの時間には限りがあります。
プロのイベントやコンサートは、タイムテーブルが分刻みに決められています。
演奏する曲も、秒単位まで正確に記入したリストを予め演出家やプロデューサーに渡す必要があります。
その情報を元に全体の構成が組まれ、本番では大勢のスタッフが出番やセッティングのサポート、時間管理をしています。
セッションには決まり事がない分、ミュージシャンの性格も現れる怖い場所でもあります。(笑)
TPOを考えた演奏は大事で、セッションは即興演奏をいかに楽しむかということが目的、それだけです。
そして、演奏に訪れた全ての奏者の事を考えることも必要です。
チューニングは当然済ませておき、板の上では微調整程度、最小限の時間でセッティングするよう心がけ、自分のPRは最小限のトークで留める、それが他の演奏者への誠意です。
散々待たされヤキモキしてたのに、自分がステージに上がると、安心感で次の奏者の事を忘れてしまい、自分のステージに時間をかけてしまいます。
かっこいい大人なミュージシャンでありたい
大人の方やプロの演奏家が溢れるセッション会場は手順も慣れたものです。
そういう場所で学んでいけば自然と身につきますが・・
プロも素人も同じです。根底にあるのはミュージシャンシップ。
むしろ、ミュージシャンシップがあるからこそプロで活躍したり、アマチュアでも格好いいミュージシャンだったりするのではないでしょうか。
事前準備やステージ上の時間をコントロールしながら演ることは、他のミュージシャンだけでなく会場のスタッフへの誠意にもなります。
ライブでも、前後の準備含めて進行の段取りが良いと、それだけ自分たちの演奏時間も増えて得するだけでなく、前後のミュージシャンやスタッフからも喜ばれます。つまり、愛されます。
そこから繋がるご縁はきっとある筈です。
それが、ミュージシャンシップを一番大事にすべき理由です。
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